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目次
はじめに:上場後の苦境から立ち直るモビリティDX企業
皆さん、こんにちは。今日は『Will Smart(175A)』について、分かりやすく解説したいと思います。
この企業は2024年4月に東証グロース市場に上場したばかりの新興企業です。「最近株価が上がっている」という話を耳にした方もいるかもしれませんが、実は『上場後に大きく下落し、そこから回復している』という複雑な動きを見せています。
なぜこのような値動きになったのでしょうか?そして、今後の投資判断はどう考えればよいのでしょうか?
1. Will Smartの事業内容:『移動の課題』を解決する会社
交通・物流業界のIT化を支援
Will Smartは『移動を支援するテクノロジー企業』として、交通・物流業界のデジタル変革を手がけています。
具体的には、JR九州や京王電鉄バス、ENEOSなどの大手企業向けに、バスの運行管理システムやEV充電システム、物流の効率化システムなどを開発・提供しています。
では、なぜこの分野が注目されているのでしょうか?答えは『人手不足』です。日本の生産年齢人口は2030年までに18%減少する見込みで、特に運送業界では9%もの人手不足が予測されています。
このような社会課題を、ITの力で解決しようというのが同社のビジネスモデルです。
2. 上場から現在までの株価推移:公募割れから回復への道のり
上場初日から公募割れでスタート
2024年4月16日の上場時、公開価格1,656円に対して初値は1,580円と、『公募割れ』でスタートしました。これは投資家の期待がそれほど高くなかったことを示しています。
2024年11月の業績ショック
そして11月21日、同社は投資家にとって衝撃的な発表を行いました。『業績予想の大幅下方修正』です。
売上高予想を700百万円から520百万円に25.7%減額し、最終損益も93百万円の赤字から213百万円の赤字に拡大しました。この発表を受けて株価は一時700円台まで急落しました。
2025年に入り回復基調
しかし、2025年に入ると株価は徐々に回復し、現在は1,000円前後で推移しています。では、なぜ回復しているのでしょうか?
3. 株価回復の3つの要因:新市場開拓と業績改善期待
①物流業界29兆円市場への本格参入
同社が新たに狙っているのが『物流業界』です。この市場は29兆円規模で、人手不足が深刻な分野です。
同社は車両データ取得システムや配送効率化システムの開発を進めており、国土交通省のプロジェクトにも参加しています。これまでの交通事業者向けの技術やノウハウを物流業界に応用できるため、投資家は新たな成長機会として期待しています。
②地域創生事業での実績積み上げ
『公共ライドシェアシステム』を長崎県平戸市に提供するなど、地域の交通課題解決にも取り組んでいます。
少子高齢化が進む日本では、地方の公共交通維持が大きな課題となっています。同社のシステムがこの問題解決に貢献できれば、全国の自治体からの需要が期待できます。
③2025年業績予想の大幅改善
『2025年12月期の業績予想』では、売上高1,200百万円(前期比+688百万円)、営業利益50百万円(前期は227百万円の赤字から黒字転換)と大幅な改善を見込んでいます。
この業績改善期待が、株価回復の最大の要因となっています。
4. 投資リスクと注意点:小型株特有の課題
業績の不安定性
2024年の業績悪化の主因は『EV市場の成長停滞』でした。顧客企業がEV関連への投資を先送りしたため、大型案件の受注が遅れました。
このように、同社の業績は顧客企業の投資タイミングに大きく左右される特徴があります。
売上の季節変動
同社の売上は10月以降に偏重する傾向があります。これは顧客企業の予算執行タイミングと関係しており、四半期ごとの業績にバラつきが生じやすくなっています。
小規模企業特有のリスク
時価総額約16億円と小規模なため、『株価変動が大きく』なりやすい特徴があります。好材料で大きく上昇する可能性がある一方、悪材料で大きく下落するリスクもあります。
5. 投資判断のポイント:成長期待とリスクのバランス
短期的な注目点
四半期決算での物流業界での案件獲得状況、自治体との新規契約の進捗、既存顧客との継続契約の状況を注視する必要があります。
中長期的な成長シナリオ
物流DX市場での競争優位性の確立、地域創生事業での実績積み上げ、収益構造の安定化が実現すれば、大きな成長が期待できます。
投資に適した投資家像
『成長性重視の投資家』や『社会課題解決型投資』に関心のある投資家に適しています。一方、安定配当を求める投資家(現在無配)や短期的な利益を求める投資家には向かないでしょう。
まとめ:Will Smart投資判断の結論
Will Smart(175A)は『困難を乗り越えて成長軌道に戻ろうとしている企業』です。
物流業界への本格進出と地域創生事業での実績積み上げにより、2025年の大幅な業績改善が期待されています。モビリティDXという成長分野での実績を持つ企業として、中長期的な成長期待は高いといえます。
ただし、業績の不安定性と小規模企業特有の株価変動の大きさには注意が必要です。『リスクを理解した上での投資判断』が重要となります。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴います。
Will Smart(175A)の会社概要
名称 | Will Smart(175A) |
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運営会社 | 株式会社Will Smart |
代表取締役 | 代表取締役社長 石井康弘 |
所在地 | 本社:〒135-0047 東京都江東区富岡2-11-6 HASEMAN BLDG5-1 |
公式ウェブサイト | https://willsmart.co.jp/ |