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28日前場の東京株式市場で日経平均株価は反落しました。
前日比92円安の5万0419円で午前を終え、節目の5万円を維持しながらも高値警戒感が意識される展開。
前日までの急上昇に対する利益確定売りが優勢となり、一時300円を超える下落となる場面もありましたが、下値では押し目買いも入り下げ渋る動きとなりました。
【注目記事】
米国市場の流れ

27日の米株式市場では、主要3指数がそろって最高値を更新しました。
ダウ工業株30種平均は前日比262ドル(0.56%)高の4万7170ドルと堅調。S&P500やナスダック総合指数も上昇し、米中対立の緊張緩和期待が投資家心理を支えました。
貿易問題を巡る交渉で米中両国が「技術・知的財産分野の制限を段階的に見直す」と伝わったことが安心感につながりました。
また、米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げ観測も浮上し、株式市場の追い風となっています。ハイテク株を中心に買いが入ったほか、金融や小売なども幅広く上昇しました。
東京市場の動き

東京市場では、前日までの「高市トレード」による急伸の反動で、主力株を中心に利益確定売りが広がりました。
日経平均は前日までに10月月初から12%超上昇し、節目の5万円を初めて突破。チャート上では200日移動平均線からの上方乖離率が26%を超え、過熱感が意識されています。
市場では「自然なスピード調整の範囲内」との見方が多く、米株高や政局の安定感を背景に下値では買いが入りやすい展開となりました。

高市早苗首相による財政拡張・金融緩和の路線期待が引き続き相場を支える構図です。
日米首脳会談の行方
注目されたのは、28日午前に行われた高市早苗首相とトランプ米大統領の会談です。
会談では関税問題や経済安全保障、日米同盟の強化が主要議題となりました。トランプ氏は「日米は最も強固な同盟国」と述べ、高市首相も「新たな黄金時代を築く」と応じ、関係強化の方針を確認しました。
市場関係者からは「両首脳の関係性が親和的で、経済・安全保障面での協調期待が高まったことが投資家の安心感につながった」(SMBC信託銀行・山口真弘氏)との声が聞かれました。
会談内容を見極めたい投資家も多く、取引前半は様子見ムードも強まりました。
投資家心理と相場の見通し
短期的な達成感から一服ムードが漂う一方、「押し目は買い」の姿勢も健在です。
国内証券ストラテジストは「5万円台を維持しつつ調整が進むのは健全。高市政権による政策運営への期待が中長期で株価を下支えする」と指摘しています。
日経平均の節目突破に伴い、オプション市場では5万5000円コールの建玉も増加。過熱感を意識しつつも、さらなる上値余地を探る動きが出始めています。
為替・金利の動向
東京外国為替市場では、円相場が1ドル=152円台中盤まで円安・ドル高が進行。米金利の高止まりと政局の安定が背景にあり、ドル買いが続いています。
円安はトヨタやソニーGなど輸出関連株の追い風となりました。
米長期金利は4.25%前後で推移。
国内10年債利回りは0.86%前後で落ち着いており、日米金利差の拡大が為替を押し下げる要因になっています。
セクター別・個別銘柄動向
東証株価指数(TOPIX)は反落し、前引けは17.54ポイント(0.53%)安の3307.51でした。
業種別では「電気機器」「精密機器」「サービス」が軟調。一方、「医薬品」「不動産」「食品」などディフェンシブ銘柄に資金が向かいました。
個別では、ニデックが内部管理体制の問題から特別注意銘柄に指定され、ストップ安。ファストリやリクルート、キヤノンも下落しました。
半面、ソフトバンクグループ(SBG)や東エレク、中外薬、塩野義製薬、フジクラ、古河電工などが上昇しました。
今日の主要経済ニュース
【国内】
- 9月失業率(総務省)
- 9月有効求人倍率(厚労省)
- 10月企業向けサービス価格指数(日銀)
【海外】
- 米耐久財受注
- 米住宅価格指数
- 独消費者信頼感指数
まとめ
前日の大幅上昇を受けて高値警戒感が強まった東京市場は、一時300円超下落し反落。ただ、日米首脳会談で関係強化が確認され、投資家心理は落ち着きを保ちました。

5万円突破後の調整は、むしろ相場の健康診断のようなもの。過熱感を冷ます時間を経て、次の上昇ステージを待つ段階です。






