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東京市場は前日の急騰の反動が強く、きょうは利益確定売りが主導しました。
日経平均は前日まで3営業日で1700円近く上昇しており、一度、勢いを整える局面に入っています。米国市場ではNYダウが反落したことも重荷となり、主力株中心に売りが広がりました。
東京株式市場の状況(2025年12月5日 前場)

日経平均株価は反落のスタートとなり、前日比660円ほど安い5万0300円台後半で推移しました。下げ幅は一時700円を超え、前日の上昇分を一部戻す形です。
主力株にまとまった売りが出ており、ファーストリテイリング、リクルート、ソニーグループなど指数寄与度の高い銘柄が軟調です。一方で、重工株のIHI、川崎重工、ディスコが買われ、物色の差がはっきりと分かれる展開となりました。

前日の上昇ピッチが速かったため、短期的な利益確定が入りやすいタイミングでした。相場全体の流れを占ううえでは、AI・半導体関連の強弱が引き続き重要になりそうです。
米国市場の影響

4日の米株式市場では、NYダウが408ドル安と3営業日ぶりに反落しました。
11月中旬の過去最高値に接近していたこともあり、利益確定売りが出やすい地合いでした。
一方で、ナスダック総合指数は続伸。米ハイテク株の堅調さが東京市場にも波及し、ソフトバンクグループなどAI・半導体株の一角が下支えとなっています。
東京市場の動き(前場中盤・10時時点)
10時台も日経平均は安値圏で推移し、前日比670円安の5万0300円台後半となりました。
東証プライムでは7割超の銘柄が下落し、広い範囲で売りが優勢です。指数寄与度の大きいアドバンテスト、ファストリが下げており、指数を押し下げました。
三井住友トラストAMの上野裕之氏は「日経平均が5万円を下回ると買いが入りやすい心理に変わってきた」と指摘し、足元では4万8500円が当面の下値めどとして意識されているとの見方を示しました。
為替市場の動向
5日午前の東京外国為替市場では、円高が進みました。
10時時点:1ドル=154円97〜99銭(前日比27銭の円高)
背景には、日銀が今月の会合で利上げする可能性が高まっているとの思惑があります。
片山財務相が「具体的な金融政策の運営は日銀に任せている」と述べたことや、高市政権が利上げを容認する姿勢と伝わったことも材料となりました。
輸入企業によるドル買い需要もあり、円高の勢いは限定的になっています。
個別銘柄の動き
きょうの前場では、次のように明暗が分かれました。
下落した銘柄
- ファーストリテイリング
- リクルート
- ソニーグループ
- 中外製薬
- TDK
- コナミグループ
上昇した銘柄
- ディスコ
- IHI
- 川崎重工
- ニトリHD
- 味の素
- 日本製鋼所
人気のテーマ
| テーマ | 背景 |
|---|---|
| AI関連 | 米ハイテク株高が追い風、SBG中心に物色 |
| 半導体 | ナスダック堅調で買い戻し継続 |
| 防衛 | 地政学リスクを意識した選好が根強い |
| 重工株 | IHI・川重が上昇、テーマとして再注目 |
| 内需優良株 | ニトリや味の素など生活関連株に買い |
注目銘柄
| 銘柄名 | 理由 |
|---|---|
| ソフトバンクG | 米ハイテク株高を背景に買いが先行 |
| ディスコ | 半導体関連の強さが目立つ |
| IHI | 重工株に資金流入が続く |
| ニトリHD | 内需株として買いが入りやすい |
| 味の素 | ディフェンシブ消費関連として評価 |
今日の主要経済ニュース
※主要指標のみ抜粋し、投資判断に影響しやすいものを中心に掲載します。
● 日本:10月消費支出(前年同月比)
予想 +1.0% → 結果 -3.0%
個人消費の弱さが改めて確認されました。
● ユーロ圏:7–9月期GDP(確定値)
前期比 +0.2%、前年同期比 +1.4%
総じて予想通りの結果です。
● カナダ:11月新規雇用者数
予想 -0.5万人 → 結果 +6.66万人
雇用環境の強さが意識されやすい内容でした。
● 米国:PCEデフレーター(前年同月比)
+2.7%
インフレ鈍化の流れを維持しています。
中小型株が好ましい場面
大型株が利益確定売りに押されるなか、物色の幅は中小型株へも広がっています。相場全体が一方向に動きにくい局面では、テーマ性のある中小型株を丁寧に拾う投資家も増えてきました。
市場の変動が大きい時期は、情報の質を高めるために株情報サイトや投資ツールを併用し、判断材料の幅を補う動きもみられます。時間をかけずに相場の流れを把握できる点をメリットと感じる投資家も多いようです。
まとめ
きょうの東京市場は、前日の急騰に対する利益確定売りが主役となりました。米国株の反落や円高の進行も重荷となり、主力株中心に売りが広がりました。
半面、AI関連や重工株の一角には買いが入り、テーマごとの強弱がはっきりしています。下値めどとして意識される5万円ラインを維持できるかが、今後の焦点となりそうです。





