【注目株】宇宙関連|4万円以下で買える月面・衛星の2社を検証

目次

本日は、宇宙関連の銘柄に焦点を当てます。日本成長戦略で重点投資の17分野に航空・宇宙が選ばれ、月面探査や衛星データの事業化に国の資金が入り始めている分野です。

 

取り上げるのは、ispace(9348)とアクセルスペースホールディングス(402A)の2社です。どちらも1単元4万円以下で買える価格帯にありますが、10月上旬に出たニュースの向きは正反対でした。

 

ispaceは欧州の宇宙大手2グループとの協業覚書を発表し、アクセルスペースは打ち上げた衛星の不具合で業績予想を引き下げています。同じテーマの中でも、材料の中身で株価の動きがはっきり分かれた例として、各社の開示内容とリスクを整理します。

 

 

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※本記事中の株価・時価総額・PBRは2026年10月9日終値をもとにした目安、業績数値は各社が2026年10月14日までに開示した決算短信・適時開示にもとづくものです。実際の株価は日々変動します。ご覧いただいているタイミングの最新情報は、証券会社の取引ツールや各社のIR情報でご確認ください。

 

①ispace(9348)―欧州大手との連携で月面インフラに広がる

株価 379円
1単元購入代金 37,900円
業種 サービス業(月面開発)
PER 算出不可(赤字予想)
PBR 約6.5倍
配当利回り 0%
時価総額 約55,457百万円
自己資本比率 20.9%(2026年6月末)

株式会社ispaceは、月面への輸送用の着陸船(ランダー)を開発し、顧客の荷物(ペイロード)を月へ運ぶ事業を進める宇宙企業です。東京のほか、ルクセンブルク、米デンバー、サウジアラビアに拠点を置いています。

 

2027年3月期第1四半期の売上高は1億6,869万円で、前年同期から85.5%減りました。前年同期に計上されていたミッション2・5の開発進捗分がなくなり、ミッション3の分だけになったためです。営業損失は63億9,763万円で、通期でも営業損失177億円を見込んでいます。

 

一方で、2028年打ち上げ予定のミッション3は、構造モデルの振動・音響試験を終え、今冬をめどに実際に打ち上げる機体の製造に入る予定と説明されています。

 

注目ポイント
  • 欧州大手2グループとの覚書:10月7日、伊レオナルド・テレスパツィオと月面の通信・測位・輸送での協業検討、独アリアングループと月面宇宙機の開発協力について、それぞれ覚書を結んだと発表しています。欧州宇宙機関の月通信計画「Moonlight」の衛星を、ispaceの輸送機で月周回軌道へ運ぶ案も検討対象です。
  • 大型の資金支援が決定:7月に欧州宇宙機関から約120億円規模の契約(MAGPIEプロジェクト フェーズ2)を締結し、8月には宇宙戦略基金の交付決定を受けています。支援の上限は最大200億円で、当初期間の交付決定額は116億4,300万円です(今後の審査で変わる可能性があり、全額の受領が確定したものではないと会社は説明)。
  • 輸送手段の選択肢が増えた:ミッション3では三菱重工業と国産ロケットH3の打上契約を結び、SpaceXのStarshipの搭載枠を使った月輸送サービスの提供開始も決めています。

 

リスク
  • 大きな赤字が続く:第1四半期だけで純損失63億3,616万円を計上し、純資産は3か月で151億円から86億円に減りました。決算短信には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象があると記載されています(会社は対応策により「重要な不確実性は認められない」と判断)。
  • 借入の条件と追加の資金調達:複数の借入に「純資産をプラスに保つ」「現預金を30億円以上に保つ」という条件が付いています。会社は今後も機動的な資金調達を検討すると説明しており、増資があれば1株あたりの価値が薄まる可能性があります。
  • 信用買いの多さ:10月9日時点の信用買い残は約596万株に対し、信用売り残は8,000株です。材料が出たときに上下どちらにも振れやすい需給と言えます。

 

佐藤真理子

 

佐藤真理子
欧州との覚書は「協業を検討する」段階なので、すぐに売上になるわけではありません。私は、11月13日の決算で現預金と純資産がどこまで減っているかを先に確認したいと考えています。

②アクセルスペースHD(402A)―防衛向け受注の一方で衛星不具合

株価 279円
1単元購入代金 27,900円
業種 輸送用機器(小型衛星・衛星データ)
PER 算出不可(赤字予想)
PBR 2.67倍
配当利回り 0%
時価総額 約18,600百万円
自己資本比率 47.7%(2026年5月期末)

株式会社アクセルスペースホールディングスは、顧客向けに小型衛星を開発・製造・運用する「AxelLiner事業」と、自社の地球観測衛星で撮った画像やその分析を販売する「AxelGlobe事業」の2本柱で事業を展開しています。

 

2026年5月期の売上高は25億800万円で、前期から58.1%伸びました。ただし研究開発費の増加で損失は拡大しています。

 

10月6日には2027年5月期の業績予想を引き下げました。売上高は90億円から67億円へ、営業損失は8億円から23億円へ、最終損失は2億4,000万円から36億5,000万円へと修正されています。

 

注目ポイント
  • 防衛省の衛星事業に参画:防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」(事業総額2,831億円)に、受託企業トライサット・コンステレーションの協力企業として加わり、光学画像を提供しています。会社は決算説明会で、このうち5年間で税抜436億円を上限に売上計上する予定と説明しています。
  • 海外の販売網:9月にエアバス傘下のAirbus Defence and Spaceと衛星画像の販売代理店契約を結んだと開示しています。
  • 修正後も売上は前期の約2.7倍の計画:下方修正後の売上高67億円でも、前期の25億円から大きく伸びる計画です。

 

リスク
  • 衛星4機の不具合と減損:7月に打ち上げた「GRUS-3」7機のうち4機で、画像データを地上へ送る高速通信系統が復旧できず、予定していた商用運用が困難になりました。18億7,900万円の減損損失を特別損失として計上します。
  • 残り3機と今後の衛星:残る3機は、開示時点で同様の事象は発生していないとされていますが、商用運用の前に品質確認を進めている段階です。会社は開発プロセスの見直しを表明しています。
  • 契約の解除と決算発表:軌道上実証サービスの顧客から契約解除の書面を受け取ったことも、売上予想の引き下げ理由に挙げられています。第1四半期決算は10月15日に発表予定です。

 

佐藤真理子

 

佐藤真理子
不具合を開示した9月29日(取引終了後に開示)の終値521円から、10月9日には279円まで下がりました。不具合の4機は低速の通信系統で画像を送る運用を検討中とのことなので、10月15日の決算でその見通しがどこまで具体的に示されるかに注目しています。

まとめ

今回は、ispace(9348)とアクセルスペースホールディングス(402A)という宇宙関連の2社を取り上げました。

 

ispaceは欧州大手との覚書や大型の資金支援が続く一方、赤字と財務の余力が最大の確認点です。アクセルスペースは防衛向けの受注という土台があるものの、衛星不具合で業績予想を大きく引き下げた直後にあたります。

 

どちらも4万円以下で買える価格帯ですが、宇宙関連は開発の遅れや不具合ひとつで業績予想が動く分野です。11月13日(ispace)と10月15日(アクセルスペース)の決算内容を、公式IRで確かめてから判断したいところです。

 

佐藤真理子

 

佐藤真理子
同じ「宇宙関連」でも、好材料と悪材料で株価の向きがここまで分かれます。テーマだけで選ばず、各社の開示を一つずつ読むのが大切だと感じました。

 

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【免責事項】
本記事および紹介している情報は、一般的な株式投資に関する情報提供および学習を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資の勧誘・推奨を行うものではありません。 記載された株価や利回り等の数値はあくまで執筆時点の目安であり、将来の成果を保証するものではありません。投資には価格変動リスクがあり、元本を割り込む可能性があります。 最終的な投資決定や銘柄の選択は、必ずご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。

 

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