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14日前場の東京株式市場で、日経平均株価は続落しました。前週末に比べ500円ほど安い4万7,500円台後半で推移し、一時700円を超える下げ幅を記録。
公明党が自民党との連立政権から離脱を表明したことで、政局の不透明感が一気に高まりました。
さらに、米中摩擦を巡る懸念が再燃したことも重なり、連休明けの東京市場では警戒ムードが広がっています。
政局不安がリスク回避ムードを強める

10日に公明党が自民党との連立政権からの離脱を発表しました。これまで市場では、高市早苗総裁の「財政拡張と金融緩和」を好感する“高市トレード”が日本株を押し上げてきましたが、連立崩壊により政策運営の不透明感が急速に高まりました。
野党内では、国民民主党の玉木雄一郎代表を首相候補に推す声が上がっており、政権交代の可能性も浮上。投資家の間では「政策の方向転換リスクが出てきた」との見方が広がっています。海外勢を中心に買い持ち高を圧縮する動きが出ており、機関投資家の売りが先行しました。
米中摩擦が再燃、海外市場も揺れる
国内の連休中、米国ではトランプ大統領がSNS上で「対中関税を100%上乗せする」と発言しました。中国によるレアアース(希土類)輸出規制への対抗措置とみられ、世界市場に再び緊張感が走りました。
この発言を受け、米国株はダウ平均が一時400ドル超下落。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も軟調でしたが、その後トランプ氏が「中国については心配いらない」と発言を修正し、下げ幅を縮小。ベッセント米財務長官も「米中首脳会談は予定通り行われる」と述べ、市場の混乱は一旦落ち着きを取り戻しています。
ただ、こうした発言の振れ幅が大きいことから、投資家の警戒感は根強く、アジア市場全体でも売りが先行する流れとなりました。
為替と債券市場にも波及
為替市場では円相場が一時1ドル=151円80銭前後まで下落。政局不安を背景に日本国債が売られ、長期金利は0.95%台へ上昇しました。円安と金利上昇が同時進行する「政治リスク相場」となっており、内外の投資家はリスク資産の調整を進めています。
特に海外短期筋による先物売りが指数を押し下げる一方、国内の個人投資家の中には押し目買いを入れる動きも見られ、売り一辺倒ではありません。市場のボラティリティ(価格変動)は高止まりしており、神経質な展開が続いています。
政局を巡る駆け引きが市場心理を圧迫
政治の動きも相場の重荷になっています。石破茂首相の後任を決める首相指名選挙を巡り、野党3党(立憲民主党、日本維新の会、国民民主党)の幹事長が14日午後に会談予定。一方、自民党も国民民主党との幹事長会談を調整しており、与野党間の駆け引きが活発化しています。
東洋証券の大塚竜太ストラテジストは「政治不安が落ち着くまでは相場は神経質な展開が続くだろう」と指摘。週内は押し目買いを控える投資家が多く、方向感を欠く地合いが続く見通しです。
東京市場の動き(10時時点)
- 日経平均:前週末比 −520円(4万7,500円台後半)
- TOPIX:続落
- 売買代金:概算 2兆1,017億円
- 売買高:9億2,421万株
個別銘柄の動き
下落が目立ったのは、TDK、中外製薬、リクルート、ソフトバンクグループ(SBG)。
一方で、良品計画は3カ年の中期経営計画を発表し、大幅高となりました。
安川電機や信越化学も堅調で、相場を部分的に下支えしました。
注目のポイント
- 政局リスク:自公連立解消で政治不安が台頭。政策転換リスクが意識される。
- 為替・金利:円安と金利上昇が同時進行し、リスク回避の動き強まる。
- 海外要因:トランプ氏の関税発言で米中摩擦再燃。発言の不安定さも市場心理を冷やす。
- 投資家動向:海外勢は先物売り、個人は押し目買い。ボラティリティ高止まり。
まとめ
14日の東京株式市場は、政局不安と米中摩擦再燃が重なり、リスク回避の動きが強まりました。
公明党の連立離脱による政治不透明感が広がるなか、海外勢の先物売りが日経平均を押し下げています。一方で、良品計画など好業績銘柄への物色が続いており、全面安には至っていません。
週内は政局の行方と為替動向を見極めながら、神経質な展開が続くとみられます。

政治リスクが高まる局面では、一時的に市場が動揺しますが、長期的には企業業績と成長テーマが株価を決めます。不安定なときこそ、「何が変わり、何が変わらないか」を冷静に見極めたいところです。





