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20日前場の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反発し、一時1300円を超える上昇となり、4万8900円台まで上昇しました。
前週末比で900円超高となる場面もあり、9日に付けた史上最高値(4万8580円)を上回りました。前週末の米株高を背景に投資家心理が改善したほか、国内では政局の不透明感が後退し、リスクを取る動きが広がりました。
円安進行も追い風となり、主力の輸出関連株を中心に幅広い銘柄が買われました。
米国市場の流れ

17日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が3日ぶりに反発し、前日比238ドル(0.51%)高の4万6190ドルで終了しました。
米地銀のフィフス・サード・バンコープが発表した7〜9月期決算で1株当たり利益が市場予想を上回り、地銀の信用不安が一時的に和らぎました。金融株の上昇が市場全体を支えたほか、ハイテク株の一角も買い戻しが入りました。
米国ではインフレ率が鈍化傾向にある一方、個人消費が底堅さを維持しており、景気後退懸念がやや後退しています。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が「量的引き締め(QT)の終了が視野に入る」と発言したことも好感され、米10年債利回りは4.27%に低下。リスク資産への資金流入を促しました。
世界経済・金融ニュース
国際的には、米中対立を巡る緊張が一時的に和らぎました。
トランプ米大統領がSNSで「中国とは建設的な話し合いが進んでいる」と述べ、中国側も報復関税を見送る姿勢を示したことから、貿易摩擦激化への懸念が後退しました。
また、欧州ではドイツの製造業PMIが予想を上回る改善を見せ、世界的な景気悲観がやや和らいでいます。
一方、中東情勢や原油価格の変動にも注意が必要です。WTI原油先物は1バレル=83ドル台で小幅に下落しましたが、依然として高水準。エネルギーコストの上昇が世界経済の重しとなる可能性も残ります。
東京市場の動き

東京市場では、米株高や政局安定を背景に買いが優勢となりました。21日に召集される臨時国会で実施される首相指名選挙では、自民党の高市早苗総裁が日本維新の会の協力を得て首相に選出される見通しが強まっています。
維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は20日に高市氏と会談し、「政策協議で合意すれば指名選挙で支持する」と表明。政治の不透明感が薄れたことで、市場は再び「高市トレード」に注目しています。
高市氏は財政拡張と金融緩和を重視し、企業投資や所得向上を促す政策を掲げています。
この「緩和的な政策スタンス」が、国内株式市場の追い風として意識されています。一方で、政策実行力や財政規律を巡る懸念も残っており、今後の閣僚人事や政策協議の内容次第では市場の反応が変わる可能性があります。
為替・金利の動向
20日朝の東京外国為替市場では、円相場が1ドル=150円台後半で推移。前週末夕方時点から円安・ドル高が進みました。
米金利低下でドルがやや弱含む局面もありましたが、高市氏の政策期待による日本の金利抑制観測が円売り要因となりました。日米金利差を背景に、輸出企業の業績期待が高まり、トヨタやソニーGなど輸出関連株が上昇しています。
国内金利は安定的に推移し、10年物国債利回りは0.845%前後。日銀の金融政策が当面維持されるとの見方が強く、資金流動性の高まりが株式市場への買い余力につながっています。
個別銘柄の動き
個別では、ソフトバンクグループ(SBG)が上場来高値を更新し、1銘柄で日経平均を500円押し上げる要因となりました。
AI関連株への資金流入が続き、東エレクやアドテスト、スクリンといった半導体関連株も堅調です。ファストリも上昇し、指数を押し上げました。
一方、非鉄金属関連の住友鉱やルネサス、DOWAが軟調。円安によるコスト増や中国景気減速の懸念が重荷となりました。
日経平均の構成比率が高い銘柄の上昇で指数が押し上げられた反面、内需や素材系の動きは限定的です。
TOPIX・売買動向
東証株価指数(TOPIX)は反発し、前日比1.2%高の3300ポイント台を回復しました。
東証プライムの売買代金は概算で1兆6233億円、売買高は5億3305万株。海外投資家の買い戻しが主導したとみられ、前週の急落で売られすぎた銘柄に買いが集まりました。
市場では、「4万9000円台を安定的に維持できるかが次の焦点」との声があり、過熱感を警戒する向きも見られます。
今日の主要経済ニュース
- 【国内】9月の貿易統計(財務省)、10月日銀地域経済報告(さくらレポート)
- 【海外】米10月NAHB住宅市場指数、中国9月鉱工業生産・小売売上高、欧州CPI改定値
まとめ
地銀不安を発端とした世界的なリスク回避ムードが後退し、日本市場では再び「買い安心感」が戻りました。政局の安定と金融緩和政策への期待が投資家心理を支えています。
一方で、円安や資源高による企業コストの上昇、海外経済の不確実性は依然として懸念材料です。市場は再び上昇モードに入りましたが、熱気の中にこそ冷静さを。次の焦点は、高市新政権の政策実行力と企業業績への波及効果です。





