
目次

23日前場の東京株式市場で日経平均株価は続落しました。前日比800円ほど安い4万8500円近辺で始まり、一時900円を超える下げ幅を記録しました。
米中対立懸念や米ハイテク株安が投資家心理を冷やしたうえ、節目の「5万円」目前で利益確定の動きが広がりました。前日の上昇相場から一転して、短期的な調整局面に入ったとの見方が出ています。
米国市場の流れ

22日の米株式市場では、主要3指数がそろって下落しました。
ダウ工業株30種平均は前日比286ドル(0.61%)安の4万6628ドル、ナスダック総合指数は1.5%安。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.3%下げ、テキサス・インスツルメンツやネットフリックスの決算が市場予想を下回ったことが重荷となりました。
ロイター通信によると、米政権が「米国製ソフトウエアを搭載した製品の対中輸出規制を検討している」と報道。
中国のレアアース輸出制限に対する対抗措置とみられ、米中摩擦再燃への懸念が強まりました。米国株は前日まで最高値を更新していたこともあり、利益確定売りが出やすい地合いでした。
世界経済・金融ニュース
米中関係の悪化懸念が、再び世界のサプライチェーン不安を呼び起こしています。特に半導体製造装置や素材に関わる企業への規制強化は、日・台・韓の関連株に影響を及ぼすとの警戒が広がりました。
中国商務省は「極端な措置には断固反対」と声明を出し、対抗措置を示唆しています。
一方、欧州ではECB(欧州中央銀行)が追加利上げを見送り、金利上昇懸念が一服。原油価格(WTI)は1バレル=83ドル台へ下落し、インフレ圧力の後退が意識されました。

為替市場ではドル売り・円買いが進み、円相場は149円台後半。世界的な「リスク回避ムード」がじわりと強まりつつあります。
東京市場の動き

東京市場では、前週まで続いた「高市政権発足期待による買い」が一巡しました。
高市早苗首相の政策方針が概ね見えたことで、短期筋による買いが落ち着き、代わってポジション調整の売りが目立ちました。日経平均は朝方に900円超下落したのち、短期筋の押し目買いでやや下げ渋る展開。
国内証券のストラテジストは「日本株は5万円目前まで急伸しており、自然なスピード調整に入った。政権発足による政策期待は中長期では支えになるが、足元では利益確定と海外勢の持ち高整理が進んでいる」と指摘します。
投資家心理と今後の焦点
市場関係者の間では「買い疲れ」と「一服感」が共通のテーマです。
日経平均は9月下旬からわずか3週間で約4000円上昇しており、オプション市場では5万円のコール(買う権利)に大きな建玉が集中。これを警戒してヘッジ売りが出ているとの指摘もあります。
中長期的には、10月末にかけて決算発表シーズンが本格化します。
企業業績が政策期待を裏付ける内容となるかが、再上昇のカギを握る見通しです。また、米中関係や為替動向が海外投資家の資金流入を左右するため、今週の動きが今後のトレンドを占う試金石になりそうです。
為替・金利の動向
23日午前の東京外国為替市場では、円相場が1ドル=149円台後半とやや円高。
米長期金利の低下でドル売りが優勢となりました。円高は輸出株の重荷となりましたが、輸入コスト抑制の期待から内需株には支援材料。国内10年債利回りは0.85%前後で安定しています。
個別銘柄の動き
半導体関連株が軟調で、東エレク、アドテスト、信越化学、ディスコなどが下落しました。
ソフトバンクグループ(SBG)やファナックなどの値がさ株も売られ、日経平均を押し下げました。
一方、食品や不動産といったディフェンシブ銘柄には資金が流入。日産化学や中外製薬、三井不動産、住友不動産、IHIなどが上昇しました。
TOPIX・売買動向
東証株価指数(TOPIX)は反落。業種別では「電気機器」「精密機器」が下落率上位。
一方、「食品」「不動産」「医薬品」など守りのセクターが上昇しました。東証プライムの売買代金は概算で1兆6323億円、売買高は7億2541万株。先物主導の売りが一巡後は、個別株物色に移る展開でした。
今日の主要経済ニュース
【国内】
- 9月企業物価指数(日銀)
- 9月貿易統計(財務省)
- 10月月例経済報告(内閣府)
【海外】
- 米新規失業保険申請件数
- 中国9月工業利益
- 欧州PMI速報値
まとめ・著者のひと言
米中対立懸念と米ハイテク株安が重なり、東京市場はリスク回避ムードに包まれました。5万円を目前にした節目意識もあり、短期的な調整局面に入った形です。もっとも、政権発足による政策期待は中長期で株価を支える要因として残っています。

「調整」はむしろ健全な息継ぎです。焦らず、今後の決算や政策動向を見極めながら次の上昇ステージを待ちたい局面です。





