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日本株が再び節目を突破しました。日経平均は史上初の5万2000円台を回復。
前夜の米ハイテク企業の好決算や、日銀による金融緩和の継続を受け、投資家心理は一段と強気に傾いています。円安も追い風となり、主力株中心に幅広く買いが入りました。
【注目記事】
国内市場

31日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸で始まり、前日に比べ800円ほど高い5万2100円台前半で推移しました。
5万2000円台を付けたのは初めてで、前日に更新した最高値を大幅に上回っています。ソフトバンクグループ(SBG)やアドテストなど主力株に買いが先行し、寄り付き直後から上げ幅を拡大しました。
前日の米株式相場は下落したものの、取引終了後に発表されたアップルやアマゾン・ドット・コムの決算が市場予想を上回ったことで、ハイテク株中心の米ナスダック100先物が日本時間31日朝にかけて1%超上昇しました。
AIやクラウド関連の好業績を背景に、東京市場でもハイテク株に買いが波及しています。
加えて、日銀が30日まで開いた金融政策決定会合で利上げを見送ったことも株高を後押ししました。
植田和男総裁が会見で「物価安定の持続性はなお見極め段階」と述べ、早期追加利上げを否定したことが安心感につながりました。為替市場では円安基調が続き、輸出企業の収益改善期待も株価を支えています。
国内要因
市場では「金融政策と為替が安定していることに加え、米ハイテクの好決算が重なったことで、海外勢の先物買いが再び活発化している」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれました。
また、31日には高市早苗首相が就任後初の政策演説を予定しており、財政拡張路線の明確化が期待されています。投資家の間では「企業業績と政策支援が噛み合えば、年末に向けて日本株の上値余地はまだある」との見方も強まっています。
米国市場

30日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が続落したものの、決算発表後の時間外取引では主要ハイテク株が軒並み上昇。とりわけアップルの売上高が市場予想を上回り、アマゾンもクラウド事業の成長加速を示したことで、投資家心理が改善しました。
為替市場では円安が進行し、30日の海外時間には1ドル=154円台を付けました。これは約8カ月ぶりの円安水準で、31日の東京市場でも153円台後半で取引されています。円安基調が続くことで、日本企業の輸出採算が改善しやすくなっています。
為替・金利の動向
東京外国為替市場では円相場が1ドル=153円台後半で推移。前日夜には一時154円台を付け、約8カ月ぶりの円安水準を記録しました。
米長期金利は4.25%前後で小幅に低下。FRB(米連邦準備理事会)の12月利下げ観測が依然として残る中、ドル高基調が続いています。
国内10年物国債利回りは0.86%前後と小動き。日銀の金融緩和維持により、金利上昇は抑えられています。
注目銘柄・セクター動向
個別では、ソフトバンクグループ(SBG)、アドテスト、ファストリ、ソニーGが上昇。日立製作所とJTは前日に発表した決算が好感され、大幅高となりました。一方、京セラ、オリエンタルランド(OLC)、パナソニックHDは下落しています。
セクター別では、「電気機器」「情報通信」「サービス業」が堅調。「精密機器」「小売」「陸運」は弱含みとなりました。
日経平均が初めて5万2000円を突破しました。米ハイテク決算、円安、日銀の金融緩和という三つの要素が重なり、日本株は再び“世界の主役”に返り咲いた印象です。
もっとも、急ピッチの上昇で過熱感も意識されるため、週明け以降は企業決算の内容を冷静に見極める局面に入りそうです。






