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8日前場の東京株式市場では、日経平均株価が朝方に上昇したあと下落に転じるなど、方向感の乏しい展開になりました。
米株高を追い風に買いが先行したものの、主力ハイテク株に売りが出て押し戻され、節目の5万円台を挟んで値動きが揺れました。
為替市場では円が一時154円台まで戻す場面があり、市場では今週控える米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に慎重な姿勢も強まっています。
東京株式市場の状況(2025年12月8日)

8日前場寄り付きで日経平均株価は前週末比プラスで始まり、その後いったん5万0300円台前半まで上昇しました。ただ、主力株の戻り売りに押され下落へ転じ、9時半時点では前週末比180円安の5万0300円前後で推移しました。
前週末の米株高が追い風になり、自動車や輸出関連株には買いが入りました。一方でアドバンテストやソフトバンクグループなど値がさハイテク株には利益確定売りが出て、指数の重荷となりました。
10時台にはいったん持ち直し、5万0400円台後半まで回復する場面もみられました。TOPIXは前場を通して小幅ながら堅調な動きでした。
米国市場の影響

5日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均やS&P500が上昇しました。発表された米経済指標が「FRB(米連邦準備理事会)の追加利下げに支障をきたさない」と受け止められたためです。
為替市場ではドル高・円安が進み、1ドル=155円台前半と前週末比で円安が進行しました。円安は輸出関連株を支える一方、金利上昇懸念が残るハイテク株には重しとなりました。
東京市場の動き
朝方の買い一巡後、節目の5万円を挟んで方向感の定まりにくい展開となりました。
ハイテク株に売り
- ソフトバンクグループ
- アドバンテスト
- 東京エレクトロン
これら主力株に戻り待ち売りが出て、指数は押し戻されています。
資金シフトの兆し
市場では「値がさAI株から、値動きの良い中堅株へ資金が移っている」との声が聞かれます。プライム市場の8割が上昇しており、物色の広がりが見られました。
慎重姿勢も強まる
- 週内に米FOMC(9〜10日)
- 日銀の18〜19日会合での利上げ観測
これらイベントを控え、積極的な買いが控えられています。

前場は売り買いが交錯し、投資家の迷いが相場の波にそのまま映し出されたような展開でした。イベントが多い週は値動きが荒くなりやすいため、落ち着いて状況を確認したいところです。
為替市場の動向
8日午前の東京外国為替市場で、円相場は下げ渋る展開となりました。
10時時点では 1ドル=155円12〜13銭(前週末比50銭の円安)。
その後は散発的な円買いが入り、一時154円98銭近辺まで円高方向に戻す場面もありました。
市場では、
- FRBは今週のFOMCで0.25%の利下げ
- 日銀は18〜19日の会合で0.25%の利上げ
との見方が一般的で、日米金利差の縮小期待が円買いにつながっています。
一方、事業会社はFOMC前で積極的な取引を控えており、方向感は限定的です。
ユーロ円は1ユーロ=180円70〜73銭(36銭の円安)、ユーロドルは1.1649〜50ドル(0.0014ドルのユーロ安)で推移しました。
個別銘柄の動き
前場は銘柄ごとに明暗が分かれました。
下落した主力株
- ソフトバンクグループ(SBG)
- アドバンテスト・東京エレクトロン
ハイテク株に利益確定売り。指数を押し下げる要因に。
上昇した銘柄
- フジクラ
- イビデン
- コナミグループ
- 豊田通商
資金シフトが追い風となり買いが入った格好です。
防衛関連株が堅調
- 三菱重工
- 川崎重工
国防費増額観測から関連銘柄に買いが継続。

個別の値動きが活発なのは前場の特徴でした。主力株の調整が目立つ一方で、物色は幅広く、投資家の視線が広がっている印象です。
人気のテーマ
| テーマ | 内容・背景 |
|---|---|
| 防衛 | 国防費増額観測で物色が継続。 |
| 半導体周辺 | 一部で利益確定売りも、中堅株は堅調。 |
| 電池・EV | トヨタグループ関連が買われる動き。 |
| インバウンド | 円安基調が追い風に。 |
| 生成AI・自動化 | 主力AI株から中小型株へ資金シフトの兆し。 |
注目銘柄
| 銘柄 | 注目ポイント |
|---|---|
| フジクラ | 資金シフトの受け皿として買いが優勢。 |
| イビデン | 半導体関連の中で相対的に強い値動き。 |
| 三菱重工 | 防衛需要増の思惑で買い続く。 |
| 豊田通商 | グローバル需要の回復期待が支え。 |
| コナミグループ | ゲーム関連の値動きが改善。 |
今日の主要経済ニュース
| 時間 | 国 | 指標 | 結果 | 予想 | 前回 |
|---|---|---|---|---|---|
| 08:30 | 日本 | 10月現金給与総額(前年比) | +2.6% | +2.2% | +1.9%(修正 +2.1%) |
| 08:50 | 日本 | 7-9月期GDP(前期比・改定値) | -0.6% | -0.5% | -0.4% |
| 08:50 | 日本 | 7-9月期GDP(年率・改定値) | -2.3% | -2.0% | -1.8% |
| 08:50 | 日本 | 10月経常収支(季調前) | 2兆8335億円 | 3兆1095億円 | 4兆4833億円 |
| 16:00 | ドイツ | 鉱工業生産(前月比) | — | +0.5% | +1.3% |
まとめ
8日前場の東京市場は、米株高と円安を背景に朝方は堅調に推移しましたが、主力ハイテク株の売りで押し戻され、一進一退の展開となりました。とはいえ、プライム市場の8割が上昇するなど物色は広がっており、資金の流れには変化が表れています。
週内にはFOMC、さらに来週には日銀会合が控えており、相場の節目となるイベントが続きます。投資家にとっては、材料の出方次第で相場の方向感が変わりやすい局面といえます。





